ストリングマシンの違いは、主に4つあります。テンションのかけ方(分銅式、クランク式ロックアウト、電子式コンスタントプル)、フレームの支え方(2点・4点・6点のマウント)、作業中にテンションを保持する方法(固定式クランプかフライングクランプか)、そして持ち運べるかどうかです。どのタイプが一番、という正解はありません。最適なマシンは、張るラケットの本数、対象の競技、使う場所、そして毎回の張り上がりにどこまで一貫性を求めるかで決まります。
ポイント
- 分銅式、クランク式(ロックアウト式)、電子式(コンスタントプル)のどれでも、正しく使えば良い仕上がりになります。違いはスピード、扱いやすさ、そしてストリングの伸びへの対応です。
- マウントの支持ポイントは、ストリンギング中にフレームにかかる負荷を分散します。一般にポイントが多いほど支えは増えますが、ラケットのセットには時間がかかります。
- 固定式クランプはマシン側に、フライングクランプはストリング上に付きます。それぞれに一長一短があります。
- ポータブル性は重さだけでは決まりません。何に固定するのか、コンセント電源が必要か、どう収納できるかも確認しましょう。
- 購入前に、張るすべての競技に合ったテンション範囲とマウントかどうか、あわせてサポート、保証、キャリブレーションの確認方法もチェックしましょう。
テンショニング:マシンごとのストリングの引き方
テンショナーはマシンの心臓部です。長年ストリングマシンを製造しているGamma Sportsは3つのテンショニング方式を紹介し、全体を通して覚えておきたい点を挙げています。それは、3方式とも正しく使えば最高品質の仕上がりになるということです。仕組みと同じくらい、ストリンガーの技術が重要です。
分銅式
ヒンジ付きアームに付いた重り付きのバーがストリングを引きます。重りをバーに沿ってスライドさせてテンションを設定し、アームを水平にします。分銅式マシンは構造がシンプルで、電源も不要です。バーが水平な間は重りが引き続けるため、水平を保っている限りストリングの伸びも吸収されます。Gammaによれば、ほかのタイプより扱いにくいものの、これから始める人に選ばれています。引くたびにバーを水平にする必要があるため、時間がかかると感じるストリンガーも少なくありません。
クランク式(ロックアウト式)
クランクを回すと、テンションヘッドがストリングを引き込みます。設定テンションに達すると機構がロックします。一般に分銅式より速く、電源も不要です。ただし、ロックした時点でヘッドは引くのをやめるため、クランプするまでに生じた伸びはマシンでは吸収されません。この差をなくすために考えられたのがコンスタントプルです。仕上がりは操作する人に左右されるので、少し間を置き、毎回同じようにクランプしましょう。
電子式コンスタントプル
モーターがストリングを設定テンションまで引き、Gammaの説明によれば「ストリングが伸びてもテンションを保つよう、クランプされるまで引き続けます」。主なメリットは、毎回同じように引けることと、体力をほとんど使わないことです。その代わり電源が必要で、電子部品が増える分メンテナンスが必要になる場合もあり、テンション表示の正確さはマシンのキャリブレーション次第です。
| 方式 | テンションのかけ方 | クランプ前のストリングの伸びを吸収 | 電源 | 主なデメリット |
|---|---|---|---|---|
| 分銅式 | 重り付きバーにかかる重力 | する(バーを水平に保っている間) | 不要 | 時間がかかる。バーの水平出しに慣れが必要 |
| クランク式ロックアウト | 手動クランク。設定テンションでロック | しない(ロック時に引きが止まる) | 不要 | 操作のタイミングに左右されやすい |
| 電子式コンスタントプル | クランプされるまでモーターが引き続ける | する | 必要 | 電子部品とキャリブレーションに依存 |
マウントシステム:2点・4点・6点
マウントシステムは、ストリングを引く間フレームを保持します。「ポイント」とは、マシンがフレームに接する箇所のことです。Gammaのまとめでは、6点マウントは安定性が高くフレームの変形を防ぎやすい一方、2点マウントはセットが速く、ストリングが引っかかる障害物も少なくなります。4点マウントはその中間です。
支持ポイントの数は、テンショナーの仕組みとも関係します。一般的なマシンではテンションヘッドがフレームから離れた位置にあり、マウントはラケット全体でその引きに耐えなければなりません。Pro Stringerのマシンは異なるアプローチをとっています。テンショナーをフレームに直接当てて引くため(センターのメインはグリップエンドのバットキャップに当てます)、Pro Stringerによればフレームに左右対称の負荷がかかります。これが2点のオプションを用意している理由です。迷ったら、特に古いフレーム、細身のフレーム、デリケートなフレームでは、支持ポイントの多いほうが安心です。
Pro StringerのマウントシステムModuleXには、2点・4点・6点の3バージョンがあります。CybeXとPlatinum 3.0の両方に対応し、構成は後から変更できます。ModuleXの比較で3つを並べて確認できます。
クランプ:固定式とフライング
固定式クランプ
固定式クランプはマシンに取り付けられており、通常はラケットの下を滑るように動く回転式ベースに載っています。Gammaによれば、マシンに固定されているためズレにくく、可動域が広いので、さまざまなストリングパターンを張るときに便利です。主に大型で本数をこなすためのマシンに見られます。
フライングクランプ
フライングクランプはマシンに固定されていません。隣り合う2本以上のストリングをつかみ、1本のストリングを使って次のストリングのテンションを保持します。Gammaは、一貫性ではやや劣るものの価格は手頃だと説明しています。Pro Stringerのマシンには固定式クランプが動くためのターンテーブルがないため、設計上フライングクランプを採用しています。Pro StringerのClawsはクランプしたストリングを平行に保つ形状で、Claws 3.0は2本または3本のストリングを保持できます。フライングクランプのマシンを選ぶなら、毎回フレームの近くに同じ角度でクランプを据えられるようになることが、安定した仕上がりへの近道です。
ポータブル性と電源
Gammaは、最初に決めるべきは卓上型かスタンド型かだとしています。どこで張るのか、どれだけのスペースがあるのか、大会に持っていく必要があるのかを考えてみましょう。実際に確認したいポイントは次のとおりです。
- 何に固定するか。卓上型マシンには頑丈な台が必要です。テーブルの縁に固定するマシンには、挟める厚さの上限があります。たとえばModuleXのテーブルクランプの挟み込み範囲は70 mmです。
- 電源。分銅式とクランク式は電源不要です。電子式はコンセント電源が必要で、海外に持っていくなら複数の電圧に対応した電源ユニットかどうかが重要です。
- 収納と飛行機での移動。Pro Stringerはマシンをトラベルバッグに収納でき、機内持ち込み手荷物として持ち込めるとしています。オウル、プライヤー、カッターなどの鋭利な工具は預け入れ荷物に入れてください。
- セットアップ時間。毎回組み立てが必要なポータブルマシンは、セットアップが速くてこそ便利です。購入前に、セットアップ動画を最後まで見ておきましょう。
Pro Stringerのマシンの位置づけ
Pro Stringerのマシンはどちらも、フライングクランプを使いフレームのすぐそばで引く、コンパクトな電子式コンスタントプルのテンショナーです。そのため、一般的な卓上型や床置き型のマシンとは別のカテゴリーに入ります。2モデルの主な違いは、操作方法と、1台で対応できる競技の数です。
- CybeXはデジタルモデルです。タッチスクリーンとトップディスプレイ、競技ごとの設定、Wi-Fi経由のファームウェアアップデートを備えています。1台のCybeXでテニス、バドミントン、スカッシュを張れます。
- Platinum 3.0はノブでテンションを設定し、デジタル機能はありません。テニス、バドミントン、スカッシュの競技別モデルとして販売しており、それぞれにその競技に合ったテンション範囲、マウント、クランプが付属します。複数の競技を張る場合は、競技ごとにPlatinumのパッケージが必要です。
正直なデメリットもお伝えします。固定するためのテーブルと電源コンセントが必要で、固定式ではなくフライングクランプで作業することになります。ショップで大量のラケットを張るなら、フルサイズの固定式クランプのマシンのほうが作業の流れに合うかもしれません。
購入前に確認したいこと
- 競技。必要ならバドミントンやスカッシュも含め、張るすべてのラケットにテンション範囲、マウント、クランプが合っているか確認しましょう。
- 本数。月に数本と週に12本では、向いているマシンが違います。本数が多いほど、マウントとクランプの速さが重要になります。
- 設置場所。常設の作業台なのか、キッチンのテーブルなのか、ホテルのデスクなのかを確認し、マシンを固定する面の厚さを測っておきましょう。
- キャリブレーション。テンション表示は使ううちにずれることがあります。マシンの点検・調整方法と、キャリブレーションツールの有無を確認しましょう。
- サポートと保証。故障時の連絡先、パーツの供給方法、お使いのモデルに対応した解説動画があるかを確認しましょう。
どのマシンを選ぶにしても、仕上がりを大きく左右するのは、たいてい毎回同じように張ることです。パターンとテクニックはストリンギング方法ガイドで、最初のテンションの選び方はテンションガイドで解説しています。
よくある質問
クランク式マシンでも、クラブプレーヤーに十分な精度はありますか?
十分な場合もあります。Gammaの見解では、3つのテンショニング方式はいずれも正しく使えば良い結果が得られます。ロックアウト式の一貫性は、操作する人次第です。すべてのストリングで同じ速さで引き、同じ時間待ち、同じようにクランプしましょう。
2点マウントはラケットを傷めますか?
一般的なマシンでは、支持ポイントが少ないほど、支えのない状態でフレームが受け持つ負荷が大きくなります。多くのショップ用マシンが6点支持を採用しているのはそのためです。Pro Stringerの設計ではテンショナーをフレーム自体に当てて支えており、同社はこれを2点支持を用意している理由に挙げています。古いフレームやデリケートなフレームを張るなら、支持ポイントの多いほうが安心です。
1台でテニス、バドミントン、スカッシュを張れますか?
テンション範囲、マウント、クランプが各競技に対応していれば可能なマシンもあります。CybeXは1台で3競技すべてに対応しています。Platinum 3.0は競技別の販売です。



